虫歯ではないのに歯が欠けるアブフラクション
こんにちは!
いしはた歯科クリニック院長の石幡一樹です。
今日の久喜は冬晴れでいい天気でした。
ところで皆さん、歯が痛いとか歯に穴が開いたとかいうと、まず虫歯を連想しますよね。
しかし、実際には虫歯以外でおこる歯の痛みや損傷は意外といろいろあります。
歯の損傷についてですが、穴があくとか削れる・磨り減る・欠ける・ひびが入る、など歯自体がなんらかの原因で傷ついてしまうことです。
こういった歯の損傷は必ずしも痛みを伴うわけではなく、例えば虫歯でも成人の虫歯などは子供の虫歯にくらべ進行が遅く、
長年にわたって少しずつ穴が大きくなっていくので、神経まで到達するほど大きくなってもまったく痛みがないこともよくあります。
今回紹介するアブフラクションと呼ばれる現象もそういった、自覚症状がないままにすこしずつ進む歯の損傷で、
これは食いしばりや歯ぎしりが原因で、歯と歯茎の境目の部分がくさびを打ち込んだ様にえぐれる現象です。
これはくさび状欠損ともよばれ、かつては主に歯磨きのしすぎでおこるといわれてきました。
しかし、くさび状欠損には2種類あるのです。
確かに歯磨き粉をたくさんつけて強い力で頻繁に歯磨きしていると、エナメル質の薄い歯茎の境目の部分が歯磨き粉の研磨剤で削られて
すり減ってきます。この場合のえぐれ方はなめらかにくぼんでいる感じで、くぼみの表面は研磨剤で磨かれてツヤがあるのが特徴です。
アブフラクションの場合は同じ様にくさび状にえぐれているのですが、削れるというよりは欠けていく感じで、
えぐれている部分がより鋭角に切り込んだ形になっています。また歯ブラシがあたるはずのない歯茎の下にまでおよんでいる場合があるのも特徴です。 では、なぜ、歯ぎしりや食いしばりでこのようなことがおこるのでしょう?
一般に歯ぎしりというと、歯の先端同士をすり合わせているイメージがありますね。
力の加減は個人差で人それぞれですが、ごく軽い力の場合から何十キロという力まで、様々です。
比較的軽い力で歯ぎしりしている場合はイメージどおり、上下の歯の先の山と山をこすり合わせている形になり、
その影響は歯の先端が磨耗する形にあらわれます。
歯の先端は硬いエナメル質の部分が特に厚くなっていますので、ある程度までは磨耗してもそれほど問題はありません
しかし、これが強い力で食いしばりながら歯ぎしりしているタイプになると話は違ってきます。
食いしばる縦方向の力が強いと、歯は山と谷ががっちり咬みこんだ形で動かず、歯は水平方向に横に揺さぶられる形になります。
そして、こういった咬む力が強いタイプの方は、歯のまわりの骨が力に耐える為にがっちりと硬く歯根を囲んでいます。
(人によっては食いしばりの強い部分の骨が、厚く外側にまで盛り上がっている場合があります。)
結果、歯ぎしりによる横揺れは歯全体でなく、歯の頭の部分に限局しておこることになります。
イメージしてみてください。人間の体を砂に埋めて頭だけ出した状態で、頭をつかんで横に揺すったとしたらどうでしょう?
ダメージは首の部分に集中しますね。歯の首の部分、「歯頸部」とよびますが、歯と歯茎の境目の部分にあたります。
ここに何十キロという咬合力が集中した結果、少しずつ歯質が欠けて剥がれ落ちる現象、これが「アブフラクション」です。
アブフラクションの原因となる食いしばりながら歯ぎしりするタイプは、一般的な歯ぎしりと違ってあまり音がせず発見が遅れがちです。
また、アブフラクションによる歯のえぐれは少しずつ進むので、かなり進んでも痛みがでないことも多いのですが、
場合によって知覚過敏の滲しみるような痛みがあったりします。
歯茎ぎわにひっかかりがある、滲しみて痛いなどに気づいたら一度歯科を受診してみましょう。
アブフラクションは、えぐれた部分に治療用のプラスチックなどを詰めて埋めることはできますが、
原因である歯ぎしりが治まらないと、再び接着剤がはがれて取れてしまいます。
歯ぎしりやくいしばりは筋肉の過緊張やストレスによって強くなる傾向がありますので、
筋肉のストレッチやストレスをためない生活を心がけることで、緩和していきましょう。
歯や顎、お口の違和感や心配事がお悩みのある方はご相談のみでも構いません。
また6か月以上歯科健診を受けていない方がいらっしゃいましたら
定期健診で現状のお口の中の状況を把握するべきです。
その時は是非お気軽にいしはた歯科クリニックまでお越し下さい。
久喜市 歯科 いしはた歯科クリニック 電話 0480-24-6480 Dr かずき