誤嚥性肺炎を防げる口腔ケアについて
こんにちは!
いしはた歯科クリニック院長の石幡一樹です。
今日の久喜は晴天で気持ち良いです。そこまで寒くもありません。
今回は口腔ケアをしっかりすることで誤嚥性肺炎を予防できるという内容です。
高齢者がかかる肺炎の過半数は、誤嚥性肺炎といわれています。
誤嚥性肺炎を防ぐには誤嚥を予防することが重要ですが、それと同じくらい口腔ケアにより細菌の増殖を防ぐことも大切です。誤嚥性肺炎の予防にもつながる口腔ケアのメリットと、実際の方法について解説します。
口腔ケアの必要性とメリット
飲食物や唾液、胃液が誤って気管に入ってしまい、それらと共に細菌が肺に入り込んでしまうことで肺が炎症を起こした状態を「誤嚥性肺炎」と言います。口の中に食べかすや虫歯、歯周病があると、細菌が増殖しやすくなります。
これは誤嚥性肺炎の大きな原因となるので、予防のためには、口腔ケアにより口内の細菌を減らすことが重要となります。事実、誤嚥性肺炎予防に関する研究によると、口腔ケアを行うことで肺炎の発症率が低くなるこという結果が出ています。口腔ケアを行うと細菌を減らせるだけでなく、唾液の分泌が促されることから食事中の誤嚥を防ぐことにもつながります。また、口腔ケアは誤嚥性肺炎予防のみならず、発熱、認知症、心臓病、糖尿病の予防にもつながるとされています。
自宅でできる口腔ケアの方法
口腔ケアは、毎日継続することが重要です。定期的に歯科などで専門医にチェックしてもらい、口腔ケアに関するアドバイスを受けると、よりいいでしょう。自宅でできる主な口腔ケアの方法には、以下のものがあります。
・食事は時間をかけて行い、よく噛んで食べる
・歯磨きは適切な歯ブラシで行い、丁寧にすみずみまで磨く
・歯間ブラシやフロスなどを使って歯石を取り除く
・口腔体操や口腔マッサージを行い、噛んだり飲み込む機能を維持する
高齢者の中には自分でケアをできない方もいらっしゃるので、そのような場合は近くにいる方が行ってあげましょう。
口腔体操の方法
まずは姿勢を正して椅子に座りましょう。鼻からゆっくり息を吸い、口から長く吐き出す深呼吸をくり返し、体をリラックスさせたら体操を始めます。
・首の体操
(1)首を左右にふる。
(2)首を左右に倒す。
(3)首を左右に1回ずつ回す。
首には、嚥下に関する筋肉が集中しています。この筋肉をほぐすことで、食べやすい状態を作ります。
・肩の体操
(1)両手を頭の上にあげて、ゆっくりと下ろす。
(2)息を吸いながら肩を上げ、息を吐きながらストンと落とす。
(3)肩を前から後ろ、後ろから前へとゆっくり回す。
・口の体操
(1)口を大きく開けてぎゅっと閉じる(閉じた時は、歯をしっかり噛みあわせる)。これを、何回かくり返す。
(2)口をすぼめた状態から、横にぎゅっと引く。これも何回か行う。
誤嚥を防ぐためには、口の筋肉を鍛えることも重要です。筋肉が発達するよう、大きく動かしましょう。
・頬の体操
口の中に空気をためて頬を膨らませた後、空気を吐き出して口をすぼめます。食べこぼしや、食べ物が鼻に流れるのを防ぐ効果があります。
・舌の体操
(1)舌をアゴの方へ思いっきり出したあと、口の中へ引っ込める。
(2)舌で口の端をなめるように左右に動かす。
(3)舌でアゴの先や鼻の舌をなめるように、上下に動かす。
咀嚼するときと飲み込むときの舌の動きを保つ効果があります。
・発音練習
カ行、タ行、パ行、ラ行をゆっくり、はっきりと発音します。唇や舌の動きを保つ効果があります。
・咳払い
お腹をおさえて、思いっきり咳払いします。誤嚥の際の反射機能(咳き込み、むせ)を保つ効果があります。
口腔マッサージ(唾液腺マッサージ)の方法
高齢になると唾液が出にくくなります。口内に唾液が少なくなると細菌が増殖しやすくなり、また、食事も上手くとれなくなることから誤嚥が起きやすくなります。唾液腺を刺激すると唾液が出やすくなるので、ぜひ実践してみてください。
・唾液腺(1):耳下腺(じかせん)のマッサージ
上の奥歯あたりの頬にある唾液腺です。ここに人差し指が乗るように手を置き、指全体で頬をゆっくり押しましょう。
・唾液腺(2):顎下腺(がっかせん)のマッサージ
アゴ骨の内側にある柔らかい部分にある唾液腺です。ここに指をあて、耳の下からアゴの先までゆっくり押しましょう。
・唾液腺(3):舌下腺(ぜっかせん)のマッサージ
アゴの先の内側で、舌の付け根にある唾液腺です。アゴの先からのど元まで、両手の親指でゆっくり押しましょう。
いずれも、5回~10回ほどくり返し行いましょう。
誤嚥性肺炎は、誤嚥が治まらない限り、治っても再発の可能性を否めません。誤嚥を限りなく防ぐためにも、また、誤嚥と共に細菌が入り込むことを防ぐためにも、口腔ケアの習慣化をおすすめします。
高齢になると、ものを飲み込む嚥下(えんげ)機能が弱まります。このような方は、誤嚥性肺炎を防ぐ方法として胃に直接栄養を投与する「胃ろう」という方法をとることがありますが、これは本当に効果的なのでしょうか?胃ろうと誤嚥性肺炎の関係について解説します。
胃ろうとは?
口から食事をとれない方や、むせて上手く食事ができない方には、胃から直接栄養を摂取させる方法をとることがあります。この方法はPEGと呼ばれるのですが、内視鏡を使ってチューブで胃とお腹をつなぎ、お腹に小さな口を作ります。この小さな口を「胃ろう」と呼びます。
PEGは5~10分ほどで手術が終了し、全身麻酔の必要がないので患者への負担が少ないのが特徴です。また、鼻にチューブを通して栄養を補給する方法よりも患者の苦痛が少なく、介護者の負担が減るというメリットもあります。のどにチューブを通さないため会話をするのにも支障がなく、胃ろうがある状態でも口から食事するリハビリを行うことも可能です。リハビリの結果、口からの食事ができるようになったら胃ろうチューブを抜き、お腹の傷口をふさぐこともできます。
誤嚥性肺炎に胃ろうは効果的?
誤嚥性肺炎を防止するために胃ろうを考える方も少なくないですが、実際は、胃ろうでも誤嚥性肺炎になる可能性はあります。というのも、直接胃に入れた栄養剤がのどまで逆流し、誤嚥して肺に細菌が入り込んでしまうケースがあるためです。また、口から食事をしなくなると、口腔機能は一気に衰えます。飲み込む力が弱くなるだけでなく、唾液の分泌が減ることで口腔が乾燥し、粘膜が傷つきやすくなって細菌に感染しやすくもなります。
胃ろうは、あくまでも食べ物の誤嚥を防ぐための対症療法です。胃ろうによって誤嚥性肺炎を引き起こす確率は低くなりますが、完全に防ぐ方法であるとは言えません。
胃ろうの方にも重要な口腔ケア
口から食事をとらなくても、口腔ケアは必要です。唾液が分泌されにくくなって乾燥した口内は、かさぶたや剥離した粘膜の死骸などが溜まり、細菌が繁殖しやすくなっているのです。胃ろうの方の口腔ケアでは、特に下記のことを行うといいでしょう。
・口の中に保湿剤を塗り、かさぶたや粘膜の死骸がふやけるまで放置します。
・吸引機付きのブラシで、口内の異物を後方から前方へと搔き出します。
・吸引機付きの歯ブラシなどを使い、丁寧に歯磨きをします。
口腔ケア中の誤嚥を防ぐためにも、頭を少し前にかがませてから行いましょう。
親知らずの抜歯のこと、インプラントを検討されている方、顎の違和感やかみ合わせ、入れ歯でお悩みの方、
歯や顎、お口の違和感や心配事がお悩みのある方はご相談のみでも構いません。
また6か月以上歯科健診を受けていない方がいらっしゃいましたら
定期健診で現状のお口の中の状況を把握するべきです。
その時は是非お気軽にいしはた歯科クリニックまでお越し下さい。
久喜市 歯科 いしはた歯科クリニック 電話 0480-24-6480 Dr かずき