口腔内セネストパチーとは?

こんにちは!
いしはた歯科クリニック院長の石幡一樹です。
今日の久喜は25度くらいで晴天でしたが暑すぎず良かったです(^O^)

今回は例えば舌に飴玉が乗っているとか、歯がかゆいとか、といったたぐいの不定愁訴、違和感について説明致します。
この症状を口腔内セネストパチーと言います。
今日初診で川口市からいらした方は歯科でプラスチックを詰めてから歯が溶けるような感じがあり
前歯と前歯があたると気持ち悪く、普段マウスピースをはめているかガーゼを噛んでいるという状態でした。

口の中の不定愁訴や違和感

セネストパチー(体感異常症、体感幻覚症)とは、見た目などからは異常はないにも関わらず、奇妙な異常感や痛みなどがある症状をいいます。セネストパチーは、1907年にフランス人によって世界で初めて報告されました。日本では1942年に翻訳、紹介され、1959年に慶応義塾大学の研究者が「慢性体感幻覚症の報告」という研究論文を発表してから、専門家の間で知られるようになりました。

100年以上にわたって使われている言葉ですが、世界的に広く使用されている精神障害の分類「精神障害の診断と統計マニュアル」(DSM-5、アメリカ精神医学会)や「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」(ICD-10、世界保健機関)には記載はありません。

現在の分類では単一の病気として認められておらず、統合失調症やうつ病の一つの症状、妄想性障害(身体型)に該当するとされています。セネストパチーは頭、口の中、胸、腹、手足、皮膚などに症状があらわれ、発現部位で最も多いのが口の中となっています。口の中に限定したセネストパチーを「口腔内セネストパチー」といい、50歳以降に多くみられます。

●口腔内セネストパチーの症状

「飴玉(もしくは他のもの)がくっついている」という訴えが最も多い症状となっています。下記以外にも患者さんは様々な症状を訴えます。真面目な患者様が多く、自身の異常感に対する確信が強い傾向があります。

一般には加齢、口の中の病気、歯科治療などで生じた微細な変化がきっかけで発症することが多く、中でも抜歯、銀歯やさし歯の装着、かみ合わせの調整など、口の中の変化がおきる歯科治療後に発症することが多いとされています。

逆に歯の根の治療のような、かみ合わせ、舌触りなどが変化しない歯科治療では、発症しにくい傾向があります。

身体への関心が高い患者さんが多く、口の中の環境の変化についていけず、これが口腔内セネストパチーの発症に関わっているのではないかと考えられています。

●口腔内セネストパチーの治療

歯科、口腔外科では、患者さんの訴えが「口腔内セネストパチー」でないかを診査します。

他の病気であることもあり、例えば「歯と歯肉の間からドロドロしたものが出てくる」という訴えの原因が歯周病であったり、「歯が歯肉に食い込んでいく」という訴えの原因が歯の破折であったり、「苦いものがでている」という訴えの原因が味覚障害であることもあります。
口腔内セネストパチーであれば、カウンセリング、認知行動療法、薬の服用、マウスピースの装着等の治療で症状が改善することもあります。つめ物の交換をおこなって欲しい、歯を削って欲しいとのご要望を受けることがありますが、症状がかえって悪化することが多いため、慎重に進める必要があります。
精神科、心療内科、神経科ではカウンセリングのほか、抗精神薬や抗うつ薬の服用をおこないます。スルピリド(商品名:ドグマチール、イミプラミン(同:トフラニール)などの薬が使用されます。
治療によって症状が改善することがあるものの、難治性で完治することはまれで、医療機関に定期的に受診することで症状の悪化を防ぎます。症状と上手に付き合っていくことも大切となります。
ちなみに今日の患者さんは当院でマウスピースを新製することと、抗うつ薬をドグマチールにしていただくことで経過観察としました。
症状を聞いた時は驚きましたが、患者さんに寄り添うこともこちらの仕事なので大切ですね!

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また6か月以上歯科健診を受けていない方がいらっしゃいましたら
定期健診で現状のお口の中の状況を把握するべきです。
その時は是非お気軽にいしはた歯科クリニックまでお越し下さい。

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