噛みしめ呑気症の治療法
こんにちは!
いしはた歯科クリニック院長の石幡一樹です。
今日の久喜は朝から小雨模様です。でも寒くはありません。乾燥して喉を傷めるよりはこの天気の方が安心ですね(^-^)
今日の歯の話は昨日噛みしめ呑気症について書きましたが、その治療法についてです。
「心療内科と歯科との共同治療が基本」
「噛みしめ呑気症候群」の治療対応としては、心身医学療法とスプリント療法となります。
すなわち、噛みしめを起こす習慣やストレスとなる要因などについての治療とスプリント(マウスピースと同じです。
以下スプリントとします)による治療が並行して行われます。
心身医学的治療では頸肩部の筋緊張や噛みしめを誘発するような精神病理、ストレス病理となる心理社会的な背景を考慮して、心身医学的な治療を行う必要があります。その中でも病態説明が重要なのです。
これに関しては心療内科治療の中で並行させて行くことになりますが、現状では心療内科の医師にとっては「噛みしめ」の病態を完全に理解しているとは言いがたいのです。
スプリント(マウスピース)療法は歯科的な知識が必要なのですが、心療内科医に歯科医師の様な咬合やクレンチングに対しての理解はあまり期待できません。
一方、歯科医師にとっては「呑気」の病態や消化器症状などは日常診療の中で治療範囲ではないことから、呑気に関する十分な知識はないと考えます。
したがって本来はこの医師と歯科医師の共同作業ができて初めて治療が成り立つのですが、現状では治療上の問題はここにあります。そこでスプリントだけでもよくなる人もおります。
誰でも行っている唾液嚥下を考える
誰でもが行っている唾液嚥下は、空気嚥下を伴います。嚥下反射(唾液嚥下)は嚥下第Ⅰ相を形成することで起こります。
噛みしめ呑気をする人は平素より臼歯部を接触させ、嚥下しやすい状態にあります。
そこで下顎安静位(安静空隙)を保持することにより、舌を口蓋につけにくい状態になります。
唾液嚥下の頻度が多いのは無意識での唾液嚥下が多いのです。
「スプリント療法」は無意識の唾液嚥下の回数を減らすことにあります。
当院では下顎を前方にずらして奥歯を浮いた状態を意図的に作り出します。
こうすることで覚醒時、睡眠時に関わらず奥歯の接触を防げますので
この方法で当院の噛みしめ呑気症の患者さんは少しづつ症状が緩解します!!
例えば、スプリントを入れることで10回嚥下のうちの無意識に嚥下するのが4回あれば、この無意識に飲み込む4回を減ずることができます。
4割の回数が減れば 空気嚥下量も4割減る計算になります。
その後は努力で1〜2割減ればほぼ正常の状態に近づきます。
またスプリント装着時には、スプリントは異物ですから刺激で唾液の流出があります。
この唾液をこまめに飲むのではなく、少し溜まったところで飲む様にします。
(例えば唾液が溜まってすぐに飲み込むのではなく、3回飲むところをためて1回にするのです。
唾液量の多い方が、同時に嚥下する空気量の比率が少なくなります) したがって、こうすることで空気の嚥下量は少なくなり、嚥下回数が減ることになりますので、患者さんにはこれを訓練してもらいます。
治療目標について
いずれにしろ 誰でもが行っている唾液嚥下は完全になくなると言うことはないのです。
ゲップや排ガスは普通にあって、全くなくなるわけではありまあせん。その量が問題なのです。
そこで「治療目標」は少しでも日常生活に支障にない程度に減量されればいいと考えます。これに対する対応が、筋緊張を起こすような精神的バックグラウンド(精神病理、ストレス病理についての対応)がある場合は心療内科で治療を行い、一方、噛みしめによる唾液嚥下反射を減ずるのが歯科的スプリント療法なのです。
呑気を原因から考えて治療を行うので原因をまとめてみます
原因のまとめ
1)習慣的に行う噛みしめ(舌だけ口蓋にを押し当てる人もいる)
2)ストレスなどがある時の緊張状態で起こす噛みしめ
3)うつむき加減の姿勢で起こりやすい噛みしめ
4)うつ状態の時(うつむき加減で噛みしめが起こりやすい)
5)不適応義歯(あわない入れ歯 気になる入れ歯など)
6)オーラルディスキネジー(口を無意識に動かす人)
などがあり、これらが臼歯部の噛みしめを起こしやすいのです
治療法のまとめ
1)空気嚥下の機構に関する十分な説明(病態説明)により症状発症の理解をしてもらう
……習慣 緊張ストレスなどで行ってしまう空気嚥下に対する対応
…… これにより症状に対する不安は半分くらい改善する
2)うつ状態や緊張不安がベースにあれば薬物療法、心身医学療法を行う
…うつ状態 神経症 心身症に対する対応
3)心理療法としては自律訓練法などを行う
…平素より緊張状態に陥りやすい人のリラクゼーションの習得による対応
4)カウンセラーによる 医療カウンセリングによる治療を行う
…日常の慢性ストレスやライフイベントによる症状発症の生活背景があるとき必要となる
ことがある
5)唾液嚥下を意識化させて 無意識での唾液嚥下を減ずるためにスプリントを装着する
…症状発症の原因に関係なく全ての症例に対しての対応法
親知らずの抜歯のこと、インプラントを検討されている方、顎の違和感やかみ合わせ、入れ歯でお悩みの方、
歯や顎、お口の違和感や心配事がお悩みのある方はご相談のみでも構いません。
また6か月以上歯科健診を受けていない方がいらっしゃいましたら
定期健診で現状のお口の中の状況を把握するべきです。
その時は是非お気軽にいしはた歯科クリニックまでお越し下さい。
久喜市 歯科 いしはた歯科クリニック 電話 0480-24-6480 Dr かずき
2018年11月6日