他院で抜歯と言われた虫歯の進行した歯を残す方法

こんにちは!
いしはた歯科クリニック院長の石幡一樹です。
今日の久喜は一日雨模様です。そして明日も雨模様のようです(ー_ー)!!
小さい台風ですが18号が明日上陸するようで明後日までは雨予報です。
今年は雨が多いですね!水不足にならないと前向きに考えましょう。

今回は虫歯が進行してしまい他院では抜歯するしかない状態と言われた歯を残すための治療方法、
クラウンレングスニングについてご説明致します。ただしあまりに深い虫歯で歯冠歯根比、
簡単に言うと歯の長さと被せ物の部分の長さの比率が限界を超える場合はさすがに抜歯となります。
ではクラウンレングスニングについて書きます。
歯は 歯槽骨の中に 埋まっています。しかし歯茎の下に 歯の割れが及んでてしまったり、
虫歯が進んで 歯茎の上に出ている歯の部分(歯冠)が ほとんど無くなって、
根(歯根)の方まで 虫歯が進み、歯茎が覆いかぶさった状態になってしまうと、
通常の虫歯治療では 歯に土台が作れないため、ほとんどの場合 抜歯になります。
歯茎の下の状態をそのままにして 無理に治療しても、精密な型をとることができず、
適合の良いクラウン(被せ物)が作れなかったり、細菌感染を起こしやすい環境を残したまま治療を進めることになってしまいます。
無理に被せると歯肉の炎症が消えません。また適合の良いクラウン(被せ物)を作るのが不可能です!
◆クラウンレングスニングとは
クラウンレングスニングとは歯冠長延長術(しかんちょうえんちょうじゅつ)ともいいます。
今日この手術をちょうど行いました。
歯茎や歯槽骨を削る歯周外科の治療領域で、その名の通り歯茎を少し下げて、
その下にある虫歯や歯が割れている部分を歯茎の上に出す治療法のことです。
APF アピカリーポジションドフラップとも言います。
治療困難なむし歯を 『抜歯しないようにする治療法』 の一つです。
クラウンレングスニング(歯冠長延長術)を行なって、歯茎の下にある虫歯や歯が割れている場所を歯茎の上に露出させることにより、
虫歯や 割れた歯に土台を立てることが 可能になり、精密な印象採得を行ったり、
細菌感染を起こしにくい環境を作ったりすることが できるようになります。
結果として 抜歯しないで被せ物を作ることが出来るだけでなく、その歯の予後が良くなる(長持ちする)ことが期待できます。
(症例によってはクラウンレングスニングを行っても助けることができず、抜歯になることがありますので、
しっかりした診査、診断が大切です。)また、歯肉縁下に虫歯や歯の破折がある場合にはクラウンレングスニング(歯冠長延長術)以外にも、エクストルージョンと言って矯正的に歯を引っ張り出す方法もあります。
◆クラウンレングスニングの目的
・抜歯するしかない状態の歯を残す
むし歯や歯が割れている部分の下にある健康な部分を 歯肉の上に出ことができれば、
抜歯をせずに歯を残すことが可能となる場合があります。
・破折を防ぐフェルールの確保
クラウンを被せたとき、土台として接触する象牙質の部分(フェルール)が大きいほど、歯へのダメージが少なくなります。
・審美性の確保
ガムライン(歯茎の高さ)を修正して 歯の長さを揃えたり、形を修正することにより審美性を確保します。
・被せ物がすぐに外れてしまう場合
噛合わせがきつくて 極端に歯の高さ(長さ)が短く被せ物が外れやすい場合、クラウンレングスニングして歯の高さを確保します。
・歯周病の改善 (歯周ポケットの除去)
◆クラウンレングスニングの注意点
・ 知覚過敏や根面カリエスの危険
クラウンレングスニングを行なうと歯茎が下がってしまうので、 知覚過敏や歯の根が露出して虫歯の危険が高くなります。(被せる処置で改善できます)
・ 審美性の問題
前歯部に対して行った場合には、歯の根が露出し、審美性の問題などが出てくることがあります。(被せる処置で審美性は改善できます)
・治療期間がかかる
歯茎を後退させた後は、数ヶ月かけて徐々に歯茎の位置が落ち着いてきます。十分な期間 歯茎の治りを待って被せる処置を行う必要があります。
以上がクラウンレングスニングについてです。他院にて保存が困難と言われたり、差し歯をするのが難しいと言われた歯でも
これをすることで保存可能になるケースがあります。ただし根っこが割れていたりしたらやはり抜歯です。

インプラントを検討されている方、顎の違和感やかみ合わせ、入れ歯でお悩みの方、
歯や顎、お口の違和感や心配事がお悩みのある方はご相談のみでも構いません。
また6か月以上歯科健診を受けていない方がいらっしゃいましたら
定期健診で現状のお口の中の状況を把握するべきです。
その時は是非お気軽にいしはた歯科までお越し下さい。

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