原因不明の顔面痛 三叉神経痛について

こんばんは!
いしはた歯科クリニック院長の石幡一樹です。
今日の久喜は曇り空でしたが、たぶんあまり雨は降っていなかったように思います。
今回は今日いしはた歯科クリニックにいらした患者さんで原因不明の顔面痛のある患者さんがおり、
色々検査をしたのですが、原因がわかりませんでした。しかし下唇が痛いとおっしゃるので
三叉神経痛を疑いました。ですので今回は三叉神経痛について書きます。

1) 三叉神経痛とは

三叉神経痛とは顔に痛みのでる病気です。顔の感覚(いたい、さわった、つめたい、あついなど)を脳に伝える神経が三叉神経ですが、
この三叉神経に痛みが起こり、顔を痛く感じるのが三叉神経痛です。様々な理由でおこりますが、特発性三叉神経痛という、
昔は原因のわからなかったものが、じつは脳に原因があっておこることがわかってきました。
この項目では、特発性三叉神経痛について記載します。以下とくにお断わりしない場合、「三叉神経痛」は特発性三叉神経痛のこととします。

2) 三叉神経痛の症状

三叉神経痛の顔の痛みにはかなり特徴があります。痛みは非常に強いものですが、突発的な痛みです。
一瞬の走るような痛みで、数秒のものがほとんどで、ながく続いてもせいぜい数十秒です。5分10分と続くような痛み、
じりじりとした痛みなどは三叉神経痛ではないことがほとんどです。三叉神経痛では痛みはいろいろな動作で誘発されます。
洗顔、お化粧、ひげそりなどで顔に痛みが走ります。そしゃく(ものをかむ動作)に誘発されることもあります。
冷たい水をのむと痛みが走ることもあります。痛みで歯磨きができないこともあります。
触ると痛みを誘発されるポイントがあり、鼻の横などを触ると、顔面にぴっと痛みが走る、
という場合は三叉神経痛の可能性が高いです。 季節によって痛みが変動するのも特徴で、11月や2月に痛みがひどくなる方が多いです。

三叉神経には三つの枝があって最初の枝がおでこ、2番目の枝が頬、3番目の枝が下あごにいっています。
この枝の範囲に痛みがおこるのが特徴です。1本の枝にだけ痛みが出る場合と、2本以上にでることがあります。
たとえば1番目と2番目(おでこと頬)、あるいは2番目と3番目(頬と下あご)というような分布の痛みが起こります。
しかし1番目と3番目というようにスキップして痛むことはありません。

3) 三叉神経痛の診断

三叉神経痛の診断には、痛みの症状や病気の経過の詳しい聞き取りがもっとも大切です。
この病気の診療になれた医師がくわしく問診することによって、かなり病気の診断の見当がつきます。
しかし痛みが典型的でない場合や、患者さんの症状の訴えがあまりはっきりしない場合、なかなか診断が簡単ではないこともあります。
内服薬(カルバマゼピン)を試しに飲んで、症状が楽になる場合は、三叉神経痛の可能性があります。またMRIの撮影も有用です。
三叉神経痛の数%は、脳腫瘍が原因で起こっていることがあり、そうではないかの確認が重要ですし、
また神経が血管で圧迫されている様子が直接確認できることもあるからです。

4) 区別しなくてはいけない病気

三叉神経痛(特発性三叉神経痛)と区別しなくてはいけない病気に、帯状疱疹後三叉神経痛があります。
帯状疱疹はウイルスがおこす皮膚の病気です。水ぼうそうのウイルスの親戚ですので、皮膚の症状は水ぼうそうのような
小さな水ぶくれがいくつもできた後、かさぶたになるのが特徴です。帯状疱疹のウイルスは神経にひそんで、
神経に沿ってあばれるのが特徴で、顔では三叉神経の分布に一致した皮膚の症状(皮疹)が出ます。
過去に顔に帯状疱疹がおこったことがあると、あとあと特発性三叉神経痛と同じような痛みが出てくることがあります。
痛みの性質だけでは区別がつきません。帯状疱疹が顔に出たことがなかったかよく問診する(思い出していただく)ことが区別の手がかりです。
このほかに、顔の痛みは、副鼻腔炎(耳鼻科の鼻づまりがもとでおこるもの、むかしの「蓄膿」のような状態)、特殊な脳梗塞、
たくさんの歯を抜いた後などいろいろな理由でおこります。帯状疱疹後三叉神経痛以外は、よくお話を聞くと痛みの性質が三叉神経痛とは違っています。

耳の前には顎関節という顎の骨と頭蓋骨のくっつく部分があり、関節になっています。ものをかむときに顎をうごかしたりすると
この関節に痛みがでる場合があり、また顎をうごかさなくても痛むこともあり時に三叉神経痛と間違えられます。
口腔外科などでレントゲンや触診、問診をすることによって区別ができます。

群発頭痛は眼の周りや奥のはげしい痛みを起こします。痛みの性質としては、激痛で、眼をえぐられるような痛みが起こります。
三叉神経痛とおなじく非常にはげしい痛みですが、三叉神経痛よりも長い痛みです。
また痛みにともなって痛みと同じ側の眼から涙が流れたり、はなみずが出たりするのも特徴です。
お酒を飲むと痛みが誘発される場合があります。しばらく痛みおこりやすい時期がつづくと半年くらい痛みのない時期がつづくという特徴があり、
この点は三叉神経痛に似ています。
舌咽神経痛は三叉神経痛と同様の痛みがのどの奥に起こります。ものを飲み込んだときに痛みがひきおこされます。
耳の穴の奥の方、くびの前面にいたみが走るように感じる場合があります。非常にまれなものですが、三叉神経痛と区別しておく必要があります。

親知らずの抜歯のこと、インプラントを検討されている方、顎の違和感やかみ合わせ、入れ歯でお悩みの方、
歯や顎、お口の違和感や心配事がお悩みのある方はご相談のみでも構いません。
また6か月以上歯科健診を受けていない方がいらっしゃいましたら
定期健診で現状のお口の中の状況を把握するべきです。
その時は是非お気軽にいしはた歯科までお越し下さい。

久喜市 歯医者 いしはた歯科クリニック 電話 0480-24-6480 Dr かずき 

©2014医療法人社団 樹伸会 いしはた歯科クリニック