入れ歯と発音の関連性
こんにちは!
いしはた歯科クリニック院長の石幡一樹です。
今日の久喜は晴天で暑いくらいです。きっと30度近くあるんだと思います。
湿度が高くないのでまだ過ごしやすいですね(^-^)
さて今回は入れ歯の発音について書かせていただきます。
入れ歯にしたら上手くしゃべれなくて、人と話をするのが億劫で悩んでいます。」という相談を何度か伺ったことがあります。
今回は、現実的な解決方法を具体的にお話しします。
上手くしゃべれない2つの理由
1、不慣れな入れ歯のために、一時的な発音障害
2、慣れだけでは解決しない、入れ歯に不備のある発音障害
このどちらかであることがほとんどです。
目次
1、上手くしゃべれない原因を探すための、必要な入れ歯の基礎知識
入れ歯の構造
発音のメカニズム
発音が考慮されない原因
2、不慣れな入れ歯でおきる一時的な発音障害の対処法
たくさんおしゃべりをして質より量で慣れる
毎日、どこでもいいので歌を歌う。
舌の体操をする
3、慣れだけでは解決しない発音障害が出る入れ歯の対処法
①発音しづらい音を見つけかかりつけ医に相談する
主な発音障害を起こしやすい音
②入れ歯の発音に詳しい歯科医師に相談する
4.まとめ
1、上手くしゃべれない原因を探すための必要な入れ歯の基礎知識
入れ歯の構造
入れ歯のピンク色の部分を床(ショウ)と呼びプラスチックに似た材料で出来ています。
主にこの部分が発音に関係してきます。総入れ歯の場合、基本的には床が上あごを全部覆い、部分入れ歯は一部覆う感じです。
他に、部分入れ歯でしたら歯の上に乗るバネ(クラスプ)や白い歯(人工歯)も発音に関係することもあります。
発音障害のメカニズム
入れ歯を着けると歯ぐきの部分が覆われるわけですから、必然とお口の中の空間の形は変化し狭くなります。
発音において、母音は入れ歯をしても、舌は入れ歯に当たることは殆どなく、呼気が口から出ていく時、その流れは妨げられないので発音障害は起きにくいのですが、子音の発音は、複雑に舌で調節して音を出すため、発音障害が起きやすいのです。
発音が考慮されない入れ歯ができる原因
入れ歯は、歯科技工士が手作業で作るので、厚さや、デザインにばらつきがでます。
最終的には歯科医師がチェックするところです。
①保険診療で入れ歯を作った
②発音に重きを置いていない歯科医師が作った
③入れ歯を入れるご本人のお口の中の構造に原因がある
このような場合、発音が考慮されない、または発音に問題が出ることが有ります。
※すべてではありません
(費用の高低がダイレクトに影響するわけではないです)
2、不慣れな入れ歯でおきる一時的な発音障害の対処法
ほとんどの方は「2~3日で慣れ、1週間もするとほぼ問題なく話せるようになりまました」とおっしゃいます。
心配はいりません。さらに使ってみて、改善の兆候が見られなければ、入れ歯の不備を疑ってみることも必要でしょう。
少しでも早く慣れたい時に出来る事
たくさんおしゃべりをして質より量で慣れる。慣れのために歌を歌う。
これらは当院の患者様からお聞きしたことです。これらに勝るものはないと私も思います。
またこれに加えて、舌の体操をすると慣れが早まりますので、お勧めします。
3、慣れだけでは解決しない発音障害が出る入れ歯の対処法
一週間たっても、上手くしゃべれないようでしたら、入れ歯の不備を疑ってみて、発音しづらい音を見つけ、かかりつけ歯科医に相談してみましょう。
①発音しづらい音を見つけ、かかりつけ歯科医に相談する。
入れ歯を入れた時に発音しづらいのは、子音だと思います。
子音は、お口の中で歯、上あご、舌でできる空間のどこかに舌を適正に接触させ、息の吐き方を様々に変えて音を作っています。
つまり、音によって舌が接触する場所と面積が決まっていて、入れ歯のその部分が厚過ぎたり、薄すぎたりして適正な接触状態が作れないと ”しゃべりづらい” という発音障害が出ます。
発音しづらい音を見つけることが解決の近道
特に発音障害が出やすいサ行、カ行、ラ行を順番に発音していき、発音しづらい音をチェックし、かかりつけ歯科医にその旨を伝え、調整してもらうのが一番の方法です。
主な発音障害を起こしやすい音&その場所
ヒ、シ、チ:小臼歯、大臼歯の歯と歯茎の境目辺りに舌が接触する時の接触面積の
不良
タ :前歯、小臼歯、大臼歯の歯茎の境目辺りに舌が接触する時の接触面積の不良
カ :大臼歯付近に限定した歯と歯茎の境目辺りに舌が接触する時の接触面
積の不良
キ :上の総入れ歯で、入れ歯の後縁の厚みが厚過ぎる
ラ :主に上あご側の前歯と歯茎の境目辺りと舌の接触面積の不良
摩擦音のサ、ザ、ハ行
破裂音のタ、ダ、カ行
発音障害の起きやすい音で、入れ歯の影響を受けやすい音です
後続母音がイのシ、ジ、ヒ、チ、キ
これらは特に舌の高さが高いところにあり、
音を出すための空間が狭まるため発音障害が起きやすいのです。
ヒの発音
上顎側で、舌が小臼歯、大臼歯の歯と歯茎の境目付近に適正に接触でないと発音障害がでます。
摩擦音のシ
破裂音のチに聞き間違えられ、ヒはシに間違えられやすくなります。
キ&ギ
舌後部後縁が上顎の後方に接触するため、入れ歯の上顎側の奥が厚すぎるとこの音の発音障害が出ます。
サ、ザなどの サ行
発音する時は、舌中央部を陥凹させて、舌の端を犬歯より奥の歯全ての 歯と歯茎の境目付近に押し当てて、舌正中部と上あごとの間に隙間を作り呼気を強く吐き出して子音を発音します。この時、上の入れ歯の前方部の形態が平らすぎたり陥凹しすぎたりすると、舌と入れ歯との間にちょうどいい隙間が出来辛く、S音を上手く発音できません。解決方法は、この部位にはS字状隆起と呼ばれるS字状のカーブを入れ歯につけてあげると、S発音時に、適正な隙間を作りやすく上手に発音できるようになります。
摩擦音のシ・ヒ
特にシは破裂音のチに聞き間違えられ、ヒはシに間違えられやすくなります
後続母音がイ段のチやキなどは
これらの音は、1週間しても慣れずに発音しにくければ、
ピンクの床の厚みを薄くして、舌が自由に動くことが出来るように調整してもらったり、
床縁と歯との間を出来る限りスムーズに移行的にして呼気が流れ易くする、
などの調整をしてもらうと良いでしょう。
これらを参考に発音しづらい音を限定してから歯科医に相談すると改善される確率は高くなり、「じきに慣れますよ」と言われてしまう危険はぐっと減るでしょう!
それでも改善しないときは
②入れ歯の発音に詳しい歯科医師に相談する
発音しづらい音を見つけ、かかりつけ医に相談しても改善されない場合は、
入れ歯の発音に詳しい入れ歯の専門医に、直接相談するのが良いと思います。
まとめ
入れ歯を入れることにより発音障害がでている場合は以下の2通りがあります。
1、不慣れな入れ歯のための、一時的な発音障害の対処法
1週間ぐらい使ってみて、改善の兆候が見られなければ、入れ歯の不備を疑って
みることが必要かもしれません。
2、慣れだけでは解決しない発音障害が出る入れ歯の対処法
発音しづらい音を見つけ、かかりつけ医に相談してみましょう。それでも改善
されない場合は、入れ歯の発音に詳しい入れ歯の専門医に、直接相談するのが
良いと思います。
上記に入れ歯に対して不慣れなために生じる発音障害と、入れ歯自体の問題による発音障害についてまとめました。
発音しにくいと痛くなくても喋りにくくて困りますよね。そんな時は遠慮せずにご相談下さいね(^-^)
インプラントを検討されている方、顎の違和感やかみ合わせ、入れ歯でお悩みの方、
歯や顎、お口の違和感や心配事がお悩みのある方はご相談のみでも構いません。
また6か月以上歯科健診を受けていない方がいらっしゃいましたら
定期健診で現状のお口の中の状況を把握するべきです。
その時は是非お気軽にいしはた歯科クリニックまでお越し下さい。
久喜市 歯医者 いしはた歯科クリニック 電話 0480-24-6480 Dr かずき
2018年6月2日